本ページは、総合商社主要5社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)に加え、豊田通商、双日、兼松を含む主要8社の働き方・年収・残業時間・離職率・人材育成を、有価証券報告書や統合報告書などの一次情報のみを用いて整理・比較する業界ハブです。

「激務と言われる商社の実態は?」「年収とホワイト度のバランスが良いのはどこ?」といったニーズに、公開データに基づき客観的に解説いたします。

総合商社の働き方・人的資本KPIの定量比較

平均年収の比較表

総合商社年収ランキング(2025年期)
順位 企業名 平均年収 平均年齢 推定時給 特徴
1位 三菱商事 2,033.4 万円 42.4 歳 8,873 円 業界唯一の2,000万超え。最強の待遇。
2位 三井物産 1,996.4 万円 42.2 歳 10,055 円 三菱に肉薄。「個」の力が報酬に直結。
3位 伊藤忠商事 1,804.6 万円 42.2 歳 8,697 円 残業が少ないため「時給」は最強クラス。
4位 住友商事 1,744.3 万円 43.2 歳 8,558 円 勤続年数が長く、安定して高給を得られる。
5位 丸紅 1,708.8 万円 42.5 歳 8,100 円 ミッション連動給で若手にもチャンス拡大。

Career Reveal編集部の分析

三菱商事が2,000万円の大台を超え、名実ともに業界トップに君臨しています。三井物産も約2,000万円と肉薄しており、財閥系2社の報酬水準は圧倒的です。伊藤忠、住友、丸紅も1,700〜1,800万円台の高水準で安定しており、業界全体として極めて高い報酬体系が維持されています。

平均残業時間の比較表

総合商社残業時間ランキング(2025年期)
順位 企業名 残業時間 特徴
1位 住友商事 9.85 時間 業界最短。メリハリ重視。
2位 伊藤忠商事 11.0 時間 「朝型勤務」で夜残業を禁止。
3位 丸紅 15.8 時間 ABWやリモートで効率化。
- 全産業平均 18.08 時間 Career Reveal掲載企業の平均値。
4位 兼松 18.3 時間 フルフレックス活用。
- 商社業界平均 19.3 時間 全産業平均に近づいています。
5位 豊田通商 22.4 時間 現場負荷はやや高め。
6位 三井物産 27.6 時間 個の裁量大。DXで改善中。
7位 三菱商事 31.0 時間 仕事量も報酬もNo.1。
- 双日 非公表 有給取得率77.6%は業界トップ級。

Career Reveal編集部の分析

「ハードワーク」と「効率化」で明確に二極化しています。住友商事(9.85時間)と伊藤忠商事(11.0時間)は、徹底した効率化や朝型勤務により、月10時間前後という驚異的な短さを実現しています。対照的に、三菱商事や三井物産は30時間前後となっており、仕事量と報酬が比例する「王道の商社スタイル」と言えます。

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離職率の比較表

総合商社離職率ランキング(2025年期)
順位 企業名 離職率 特徴・要因
1位 三井物産 0.96 % 業界No.1。「人の三井」の自由な風土が寄与。
2位 三菱商事 0.98 % 1%切り。最高峰の待遇とブランド力。
3位 丸紅 1.3 % 女性活躍や働き方改革で定着率向上。
4位 住友商事 1.4 % 堅実経営で長期雇用が前提。
5位 伊藤忠商事 1.6 % 朝型勤務など規律あるカルチャー。
- 業界平均 2.01 % 全産業平均(3.92%)の約半分です。
6位 豊田通商 2.1 % トヨタ流の現場主義。
7位 双日 3.4 % 独立支援など「卒業」を推奨する文化。
8位 兼松 4.4 % 自律型人材が多く、流動性が高い。

Career Reveal編集部の分析

三井物産(0.96%)と三菱商事(0.98%)は1%を切る圧倒的な定着率を誇り、長期就業の傾向が強いことがうかがえます。一方、双日(3.4%)や兼松(4.4%)は相対的に高めの数値であり、組織の新陳代謝が起きやすい可能性があります。

男性育休取得率の比較表

総合商社主要8社の男性育休取得率の比較表(2025年期)
企業 男性育休取得率(%)
三菱商事 163.9 % ※
三井物産 91.0 %
伊藤忠商事 96.0 %
住友商事 78.6 %
丸紅 95.0 %
豊田通商 61.9 %
双日 96.1 %
兼松 85.7 %

※三菱商事の数値は、分母(配偶者が出産した社員数)に対し、年度をまたいで取得した社員や短期休暇利用者も含むため100%を超えています。

Career Reveal編集部の分析

商社業界は男性育休の開示・推進が進んでいることが特徴です。伊藤忠商事、双日、丸紅は95%前後の高水準で推移しており、制度が定着している可能性があります。

総合商社 主要8社の人的資本・働き方タイプ診断(サマリー)

【完全版】総合商社 人的資本データ統合分析表(タイプ診断付き)

総合商社主要8社の人的資本データ統合分析表
企業名 年収 残業時間 離職率 男性育休 総合タイプ診断
三菱商事 2,033万円 31.0h 0.98% 163.9% 【総額派・王道ハードワーク】
業界トップの報酬水準。残業は多めだが、定着率は非常に高い。
三井物産 1,996万円 27.6h 0.96% 91.0% 【総額派・高効率プロフェッショナル】
高年収と高い定着率が両立。成果と報酬の結びつきが強いタイプ。
伊藤忠商事 1,804万円 11.0h 1.6% 96.0% 【効率派・時短高報酬】
残業が短い一方で年収は高水準。時間対効果を重視するタイプ。
住友商事 1,744万円 9.85h 1.4% 78.6% 【効率派・WLB重視】
業界最短クラスの残業。バランス重視で働きたい人向き。
丸紅 1,708万円 15.8h 1.3% 95.0% 【バランス派・柔軟運用】
年収・残業・定着のバランスが良い。制度運用の柔軟さが出やすいタイプ。
豊田通商 1,320万円 22.4h 2.1% 61.9% 【実務派・現場ドライブ】
報酬は大手5社より抑えめだが高水準。残業・離職率は相対的に高め。
双日 1,274万円 非公表 3.4% 96.1% 【流動派・新陳代謝】
離職率は相対的に高め。男性育休は高水準で、制度面の整備が進む。
兼松 1,143万円 18.3h 4.4% 85.7% 【成長派・キャリア可動域】
離職率は高めで人の動きが出やすい。残業は中程度で、働き方はバランス型。

※タイプ診断は、公開されている年収・残業時間・離職率・男性育休取得率の傾向をもとに整理しています。

補足:商社業界の人的資本投資・多様性の傾向

総合商社は「人」が最大の資本であり、 年収や労働時間だけでなく、 人材育成(研修)や多様性(女性活躍)への投資 にも各社ごとの思想の違いが表れます。

大手総合商社では、1人あたり数十万円規模の研修投資や、 年間数十時間に及ぶ研修機会を提供する企業も多く、 長期的な専門性の蓄積を重視する姿勢が共通しています。

また、有給休暇の取得促進や男性育休の高取得率に加え、 女性管理職比率の目標設定・開示など、 人的資本・ESGの観点からの取り組みも進んでいます。

一方で、研修費用を抑えてOJTや現場教育を重視する企業や、 指標をあえて非公表とする企業もあり、 単純な数値比較だけでは見えない企業文化の違い が存在する点も、商社業界の特徴です。

各社の有給取得率・研修時間/費用・女性管理職比率 といった人的資本データについては、 以下の個別記事および「人的資本で見る商社」特集ページで、 一次情報ベースに詳しく解説しています。

総合商社各社の働き方・特徴まとめ

各社の詳細な働き方、制度、カルチャーについては、以下の企業ページで確認できます。

三菱商事

圧倒的No.1の待遇。総額重視の王道ルート。

👉 三菱商事の企業データを見る ↗

三井物産

高年収と定着率の両立。プロ志向に向く。

👉 三井物産の企業データを見る ↗

伊藤忠商事

朝型勤務などで効率化。時短高報酬の代表格。

👉 伊藤忠商事の企業データを見る ↗

住友商事

残業10時間以下。WLB重視で選ぶなら候補。

👉 住友商事の企業データを見る ↗

丸紅

バランス型。柔軟な働き方が特徴。

👉 丸紅の企業データを見る ↗

豊田通商

実務寄りの現場感。残業・離職の水準も要確認。

👉 豊田通商の企業データを見る ↗

双日

流動性が出やすい一方、育休は高水準。

👉 双日の企業データを見る ↗

兼松

人の動きが出やすい。キャリアの可動域を重視する人向き。

👉 兼松の企業データを見る ↗

【面接対策】商社業界のトレンドを探る「逆質問」例

商社ごとの「色」の違いを理解した上で、より深い戦略やカルチャーを問う質問は好印象です。

Q. 人的資本経営と働き方について聞く

「御社は(朝型勤務/ABW/健康経営)などの独自の施策で成果を上げられていますが、現場レベルでは社員の方々の意識や時間の使い方はどのように変化したと実感されていますか?」

💡 ポイント:特徴的な制度を持つ企業では、制度の“運用実態”まで踏み込むと深い質問になります。


Q. 若手の裁量と育成について聞く

「御社の離職率は(1%未満/業界内では流動的)と拝見しました。若手のうちから挑戦機会を増やすために、どのような育成や配置の仕組みがありますか?」

💡 ポイント:データ(離職率・残業)を前提に置き、“なぜその数字になるのか”を聞くと説得力が増します。

まとめ

総合商社業界は全体として高年収・高待遇ですが、働き方のスタイルは明確に分かれています。

  • 圧倒的な報酬とブランドを重視するなら、三菱商事・三井物産。
  • 時間効率と生産性を重視するなら、伊藤忠商事・住友商事。
  • バランスを重視するなら、丸紅(中庸で選びやすい)。

企業規模や知名度だけでなく、公開データが示す「稼ぎ方・働き方」との相性を重視して企業選びを行うことが、入社後のミスマッチを防ぐ鍵となります。

総合商社各社の一次情報(公式資料へのリンク集)

三菱商事株式会社

三井物産株式会社

伊藤忠商事株式会社

住友商事株式会社

丸紅株式会社

双日株式会社

豊田通商株式会社

兼松株式会社