本ページは、総合商社主要5社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)に加え、 豊田通商、双日、兼松を含む主要8社について、 人的資本(研修・育成)と多様性(女性活躍)の観点から、 有価証券報告書・統合報告書・サステナビリティレポートなどの一次情報のみを用いて整理・比較する特集ページです。

「商社は“人”が資本」と言われますが、実際にどれだけ人に投資し、どのような組織を目指しているのかは企業ごとに異なります。 本記事では、有給取得率・研修費用・研修時間・女性管理職比率のデータを横断比較し、 数値の背景にある育成方針や文化の違いも含めて解説します。

📌 先に結論:人的資本で見ると「商社の色」は大きく分かれる

  • 投資型:研修費用が突出(例:大手総合商社の一部)
  • 時間投下型:研修時間が長く、OJTや現場教育も含めて育成(例:研修時間開示が厚い企業)
  • 制度先進型:有給・育休・働き方制度の整備が進み、定着の基盤が強い
  • 改善余地型:女性管理職比率などで伸びしろが大きい(施策の進捗を要確認)

総合商社の人的資本KPIの定量比較

有給取得率の比較表

総合商社主要8社の有給取得率の比較表(2025年期)
企業 有給取得率(%)
双日 77.6 %
兼松 71.2 %
丸紅 71.1 %
三井物産 69.0 %
伊藤忠商事 69.0 %
三菱商事 68.0 %
豊田通商 64.9 %
住友商事 非公表(平均14.1日)

Career Reveal編集部の分析

双日が77.6%と高水準です。兼松や丸紅も70%を超えており、商社業界全体として休暇取得が推奨されていることがうかがえます。 住友商事は取得率を公表していませんが、平均取得日数は14.1日と一定の水準を確保しています。

人材投資(研修費用/人・年)の比較表

総合商社主要8社の人材投資(研修費用)の比較表(2025年期)
企業 研修費用(万円/人・年)
三菱商事 70.5 万円
伊藤忠商事 60.6 万円
三井物産 58.0 万円
丸紅 31.1 万円
住友商事 28.7 万円
豊田通商 2.0 万円
兼松 1.2 万円
双日 公表データなし

Career Reveal編集部の分析

三菱商事(70.5万円)、伊藤忠商事(60.6万円)、三井物産(58.0万円)の上位3社が突出しており、 研修を含む人材投資に厚い傾向が見られます。一方、豊田通商や兼松は金額ベースでは少なめですが、 OJTや現場教育を重視する育成方針の違いが現れている可能性があります。

人材投資(研修時間/人・年)の比較表

総合商社主要8社の人材投資(研修時間)の比較表(2025年期)
企業 研修時間(時間/人・年)
丸紅 48.0 時間
豊田通商 35.8 時間
双日 30.0 時間
住友商事 28.7 時間
兼松 22.0 時間
三菱商事 公表データなし
三井物産 公表データなし
伊藤忠商事 公表データなし

Career Reveal編集部の分析

丸紅が年間48時間と長く、学習機会の提供に注力していることがうかがえます。豊田通商も35.8時間と長く、 研修費用は抑えつつも時間(OJT含む)をかけて人を育てる方針が見て取れます。

女性管理職比率の比較表

総合商社主要8社の女性管理職比率の比較表(2025年期)
企業 女性管理職比率(%)
三菱商事 12.3 %
三井物産 11.0 %
住友商事 10.3 %
丸紅 9.6 %
伊藤忠商事 9.0 %
豊田通商 8.4 %
双日 6.8 %
兼松 5.9 %

Career Reveal編集部の分析

三菱商事(12.3%)を筆頭に、三井物産、住友商事が10%を超えており、業界全体で女性登用が進みつつあります。 一方、双日や兼松は一桁台で、今後の施策推進の余地が大きい指標です。

総合商社 主要8社の人的資本タイプ診断(完全版)

総合商社 主要8社の人的資本タイプ診断(完全版)

以下は、本ページで扱った人的資本KPI(有給・研修・女性活躍)と、 商社まとめページで扱う主要KPI(年収・残業・離職率・育休など)を踏まえて、 主要8社を「人的資本の特徴」で整理したものです。

制度運用の成熟度: 有給取得率・育休取得実績等の定量指標と その継続的な開示・運用状況を基に相対評価

企業名 人的資本の特徴 タイプ診断
三菱商事 研修費用が高水準。人的資本投資の厚みが出やすい。 【投資型】
費用面で人に厚く投資する傾向。
伊藤忠商事 研修費用が高水準。有給も高めで制度運用が進む。 【投資型×制度先進】
投資と制度の両輪で整備が進む。
三井物産 研修費用が高水準。有給も高めで、人的資本施策の開示が進む。 【投資型】
人材投資を軸に組織力を高める。
丸紅 研修時間が長く、有給も高水準。学習機会の提供が厚い。 【時間投下型】
学習機会(時間)を重視する傾向。
住友商事 研修費用・時間が一定。女性管理職は10%超。指標は一部非公表もあり。 【バランス型】
複数指標で中庸に整備が進む。
豊田通商 研修時間は長い一方、費用は低め。育成方針の違いが出やすい。 【時間投下型】
費用より時間・現場教育で育成。
双日 有給取得率が高く、研修時間も長め。研修費用は非公表。 【制度先進型】
休暇取得など制度運用が強い。
兼松 有給は高め。研修費用は低めで、研修時間も一定水準。 【改善余地型】
指標の伸びしろが比較的大きい。

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主要8社の詳細(一次情報ベース)

各社の人的資本データ(有給・研修・女性活躍)や制度の背景は、 以下の個別記事で一次情報ベースに詳しく解説しています。

総合商社各社の一次情報(公式資料へのリンク集)

三菱商事株式会社

三井物産株式会社

伊藤忠商事株式会社

住友商事株式会社

丸紅株式会社

双日株式会社

豊田通商株式会社

兼松株式会社

出典

Career Reveal / 有価証券報告書 / 統合報告書 / サステナビリティレポート / ESGデータブック