DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、人材獲得競争が激化している電機・IT業界。 「安定していて人が辞めない」と言われてきたこの業界ですが、最新データを見るとその傾向に変化が生じています。 本記事では、主要大手6社の離職率を全産業平均データ(2023-2025年)と比較。業界特有の「流動化トレンド」と、企業ごとの定着率の差をデータで読み解きます。

結論:電機・IT業界は「まだ定着率は高い」が、「流動化」が加速している

  • 最新離職率(2025年):業界平均 3.16% < 全産業平均 3.34%。
    依然として全産業よりは「人が辞めない」業界です。
  • トレンドの逆転:
    • 全産業:3.76%→3.47%→3.34%と「離職率が低下(改善)」しています。
    • 電機業界:2.8%→3.2%(推計)と「離職率が上昇(流動化)」しています。
  • 要因:「ジョブ型雇用」の導入により、エンジニアを中心にキャリアアップ転職が一般化しつつあります。

電機・IT業界の離職率ランキング(vs 全産業平均)

電機・IT大手6社離職率ランキング(2025年)
順位 企業名 離職率(2025年) 全産業平均との差 評価
1位 日立製作所 2.4 % -0.94 pt 業界最高水準の定着率。
2位 ソニーグループ 2.5 % -0.84 pt 極めて低い。
2位 富士通 2.5 % -0.84 pt 社内異動で定着を図る。
4位 パナソニック HD 3.3 % -0.04 pt 全産業平均とほぼ同等。
- 全産業平均 3.34 % - 減少傾向にあります。
5位 三菱電機 3.7 % +0.36 pt 平均よりやや高い。
6位 日本電気(NEC) 3.9 % +0.56 pt 変革期で流動性が高い。

💡 Career Reveal編集部の分析

日立、ソニー、富士通の3社は、全産業平均(3.34%)を大きく下回っており、依然として「人が辞めない企業」です。
一方、NECと三菱電機は全産業平均を上回っています。これはネガティブな側面だけでなく、組織の新陳代謝が進み、中途入社者にとっては入りやすい環境になっている(流動性が高い)とも捉えられます。

離職率の推移:業界トレンドの逆転現象

電機・IT大手6社と全産業の平均離職率比較

世の中全体では離職率が下がっていますが、電機業界は上がっています。 これは、従来型の「終身雇用」から、自律的な「ジョブ型」への転換がこの数年で急速に進んだためです。

年度 全産業平均 電機・IT業界傾向 トレンド比較
2025年 3.34 % 約 3.2 % 差が縮小(0.14pt差)
2024年 3.47 % 約 2.8 % 電機業界の方が明らかに低い
2023年 3.76 % 約 3.0 % 電機業界の安定性が際立つ

主要企業の「定着」と「代謝」の要因

富士通:社内転職で定着

年間2,800人以上が利用する「ポスティング制度」が機能しており、「辞めずに社内で異動する」選択肢が定着しています。

👉 富士通の定着理由を見る ↗

日立製作所:業界No.1の求心力

離職率2.4%は業界最低水準。「ジョブ型人財マネジメント」により、納得感のある配置と処遇を実現し、高い定着率を誇ります。

👉 日立製作所の離職率データ詳細 ↗

ソニーグループ:圧倒的エンゲージメント

エンゲージメントスコア89%。高年収と自由闊達な風土により、人材が流出しにくい強力な組織文化を持っています。

👉 ソニーグループの離職率データ詳細 ↗

パナソニック HD:柔軟な制度で改善中

週休3日制や社内副業など、働き方の選択肢を広げることで、離職率は改善傾向(3.3%)にあります。

👉 パナソニックHDの離職率データ詳細 ↗

NEC:変革による代謝

離職率3.9%は業界最高値ですが、ジョブ型への急激な移行に伴う新陳代謝の側面が強く、同時に優秀層の採用も加速しています。

👉 NECの離職率データ詳細 ↗

三菱電機:若返りと風土改革

離職率3.7%。「チーム創生」などの風土改革を進めており、組織が若返る過程での一時的な流動化が見られます。

👉 三菱電機の離職率データ詳細 ↗

【面接対策】離職率トレンドを踏まえた「逆質問」

業界全体の流動化を前提に、個社のスタンスを問う質問が効果的です。

Q. 人材流動化への対策について聞く

「業界全体として人材の流動性が高まる中、御社では優秀なエンジニアや社員に長く活躍してもらうために、報酬以外の面(働きがいやカルチャー)でどのような差別化を図っていますか?」

💡 ポイント:単なる条件面だけでなく、組織の魅力に関心があることを示せます。

まとめ

電機・IT業界の離職率は、全産業平均(3.34%)と比較するとまだ低い水準ですが、その差は縮まっています。

  • 「絶対に安定して長く働きたい」なら、日立製作所や富士通、ソニーグループ(全産業平均より明らかに低い)。
  • 「変化のある環境でチャンスを掴みたい」なら、NECや三菱電機(全産業平均より高い=代謝が良い)。

「離職率が低い=良い会社」とは一概に言えなくなっています。ご自身のキャリア志向(安定か、挑戦か)に合わせて企業を選ぶことが重要です。

主要企業の離職率詳細ページ

一次情報(公式資料へのリンク集)

富士通株式会社

パナソニック ホールディングス株式会社

ソニーグループ株式会社

株式会社日立製作所

三菱電機株式会社

日本電気株式会社