「電子部品業界って離職率はどうなの?」と気になる方は多いのではないでしょうか。グローバルな競争や急速な技術革新が続く業界でありながら、主要企業の離職率は2%台前半という低水準で安定しています。有価証券報告書・サステナビリティレポートなどの一次情報をもとに、村田製作所・京セラ・ニデック・TDK・キーエンスの主要5社を定着率・勤続年数・離職防止策の観点で徹底比較します。
結論:電子部品デバイス業界の離職率は「全産業平均の約半分」の低水準で安定
- 業界平均離職率は2.27%(2025年・3社平均) 全産業平均(約3.3%)を大幅に下回る低水準。2022年の1.50%から緩やかに上昇していますが、依然として2%台前半で安定しています。
- 数値公開は5社中3社 TDK(2.2%)・村田製作所(1.8%)・京セラ(2.8%)が数値を公開。キーエンスとニデックは非公表ですが、いずれも定着施策を積極的に開示しています。
- 平均勤続年数は14.5年 5社平均で14.53年(2025年)と非常に長く、一度入社すると長期的に働き続ける人材が多いことを示しています。
- 有給取得率は76.5%に上昇 業界全体で有給取得率の向上が続いており、働きやすい環境整備が定着率の高さを支えています。
- 離職防止施策が充実 カムバック制度・心理的安全性教育・エンゲージメント調査など、各社が独自の定着施策を展開しています。
📊 企業選びの軸を決めるランキング・比較
電子部品デバイス業界・主要5社の離職率比較
離職率ランキング(最新データ)
以下の表は、各社の最新公開データによる離職率・平均勤続年数・有給取得率の比較です。企業名をクリックすると各社の詳細ページに移動できます。
| 企業名 | 離職率 | 平均勤続年数 | 有給取得率 | 年(期) |
|---|---|---|---|---|
| 村田製作所 | 1.8% | 14.1年 | 約76% | 2025年 |
| TDK | 2.2% | 17.2年 | 約73% | 2025年 |
| 京セラ | 2.8% | 15.7年 | 約80% | 2025年 |
| キーエンス | 非公表 | 11.1年 | — | 2025年 |
| ニデック | 非公表 | 12.6年 | 約73% | 2024年 |
💡 Career Reveal編集部の分析
電子部品デバイス業界の離職率が低い最大の理由は、この業界が持つ「専門技術の深さ」にあります。コンデンサ・センサー・モーターといった電子部品は、設計・製造に高度な専門知識が必要で、スキルの習得に数年単位の時間がかかります。そのため、ある程度のキャリアを積んだ社員は市場価値が高まる一方、専門性を活かせる同業他社へ移ることへのハードルも高く、構造的に「辞めにくい」環境が生まれています。
また、村田製作所(1.8%)やTDK(2.2%)の低離職率は、フレックスタイム制・育休制度・カムバック制度など、ライフステージの変化に対応できる制度の充実によるところも大きいです。一方、京セラ(2.8%)はアメーバ経営特有の業績プレッシャーが一定の流動性を生んでいると考えられますが、それでも全産業平均を大幅に下回る水準で安定しています。
離職率の推移(業界平均)
過去4年間の業界平均推移です。公表企業数が限られるため、比較可能な3社の集計値となっています。
| 年(期) | 業界平均(公表3社) | 前年比 | コメント |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 1.50% | — | 2社集計。コロナ禍の人材流動抑制が影響。 |
| 2023年 | 2.17% | +0.67pt | 3社集計。社会全体の転職市場活性化とともに上昇。 |
| 2024年 | 2.20% | +0.03pt | ほぼ横ばいで安定。各社の定着施策が効果を発揮。 |
| 2025年 | 2.27% | +0.07pt | 引き続き低水準。全産業平均の約半分を維持。 |
業界の事業構造と離職が起きにくい背景
電子部品デバイス業界において離職率が低く安定している背景には、事業構造上の特性が深く関わっています。
① 専門技術の蓄積が「転職コスト」を高める
コンデンサ・センサー・モーター等の電子部品は、製品設計から製造プロセスまで高度な専門知識が必要です。入社後数年で習得できるスキルではなく、長期勤続によって蓄積される知識が競争優位の源泉となるため、企業側・社員側ともに長期雇用を志向する構造があります。
② B2Bビジネスモデルが安定した雇用を生む
主要顧客がスマートフォンメーカー・自動車メーカー・産業機器メーカーといった大手企業であるため、長期取引関係が安定した売上を生み、雇用の安定につながっています。中長期的な雇用安定性は高水準です。
③ 各社が「離職防止」を経営課題として位置づけ
エンゲージメント調査・心理的安全性教育・カムバック制度など、各社が独自の定着施策を積極的に展開しており、「辞めない環境づくり」への投資が継続されています。
主要5社の離職防止施策まとめ
各社は離職を未然に防ぐため、独自の取り組みを展開しています。詳細は各社の個別ページで確認できます。
村田製作所(離職率1.8%)
【健康経営・有給最大化型】
心身の健康を経営基盤と捉えた健康経営を推進。有給取得率の継続的向上と働き方改革により、自己都合退職率の抑制を実現。業界最低水準の離職率を維持。
TDK(離職率2.2%)
【カムバック・多様性定着型】
育児・介護等でやむを得ず退職した従業員の再雇用制度を導入。障がいを持つチームメンバーへの相談員配置など、多様な人材が長期的に活躍できる環境を整備。
京セラ(離職率2.8%)
【心理的安全性・対話型】
心理的安全性に関する教育を全社で実施。経営トップと従業員が意見交換を行う座談会を通じて風通しの良い職場風土を醸成し、アメーバ経営下での定着率向上を図る。
キーエンス(離職率非公表)
【エンゲージメント高維持型】
全社員対象の満足度調査を定期実施し、エンゲージメントの肯定的回答率を高い水準で維持。高収入・高生産性の文化が社員の帰属意識を高め、実質的な定着率の高さにつながっている。
ニデック(離職率非公表)
【カムバック6年・サーベイ型】
育児・介護等で退職した社員が最大6年以内に復職可能なカムバック制度を導入。組織パフォーマンスサーベイを定期実施し、職場環境の継続的改善で人材流出を防ぐ。
【面接対策】志望企業の定着文化に合わせた逆質問例
「離職率は低いですか?」と直接聞くのは避け、各社の定着施策・文化に沿った質問で主体性をアピールしましょう。志望企業のタイプに合わせて使い分けてください。
Q. 心理的安全性と長期キャリアについて聞く(村田製作所・京セラ向け)
「心理的安全性の向上や経営トップとの座談会、健康経営など、職場風土づくりに力を入れていると理解しています。実際に社員の方が『ここなら長く働きたい』と感じる瞬間や、長期的に活躍されているメンバーに共通する特徴があればお伺いしたいです。」
💡 ポイント:村田製作所の健康経営・有給取得向上や、京セラのアメーバ経営下での心理的安全性教育への理解を示せます。長期的に貢献したいという姿勢が伝わります。
Q. カムバック制度とライフステージ対応について聞く(TDK・ニデック向け)
「カムバック制度など、ライフステージの変化があっても長期的なキャリア継続を支援する仕組みが整っていると理解しています。実際にこれらの制度を活用して復職・活躍されている方の事例があればお伺いしたいです。」
💡 ポイント:TDKの再雇用制度やニデックの最大6年カムバック制度への理解を示しながら、長期的なコミットメントをアピールできます。育児・介護等でのキャリアブランクへの不安がある方にも使いやすい質問です。
Q. エンゲージメントと成果の好循環について聞く(キーエンス向け)
「全社員対象の満足度調査でエンゲージメントを高い水準で維持されていると伺っています。高いエンゲージメントと高い成果を同時に実現し続けるために、個人として意識すべきことや、会社として大切にしている文化があれば教えていただけますか?」
💡 ポイント:キーエンスが重視する「公私峻別」と「高付加価値創造」の文化への理解を示せます。「成果を出しながら長く働きたい」という意欲が伝わる質問です。
電子部品デバイス業界に向いている人・向かない人
✅ 向いている人
- 専門技術を深め、長期的にキャリアを築きたい人:平均勤続14.5年が示す通り、専門性を積み上げながら安定したキャリアを描ける環境です。一つの分野を深く極めたい人に向いています。
- ライフステージの変化を見越してキャリアを考えたい人:カムバック制度・育休制度・フレックス制度など、育児・介護を抱えながらも長く働き続けるための仕組みが充実しています。
- 組織風土改善に能動的に関わりたい人:エンゲージメント調査や心理的安全性ワークショップなど、社員が組織づくりに参画できる仕組みを持つ企業が多く、主体的に働きやすい環境を作りたい人に向いています。
❌ 向かない人
- 離職率の具体的な数値開示を重視する人:5社中2社(キーエンス・ニデック)は数値を非公表のため、データで企業を比較したい人には情報が不足する場合があります。
- 短期間で多様な業界・職種を経験したい人:専門技術の蓄積を前提とした長期雇用型の文化が主流のため、ジョブホッピングを志向する方にはミスマッチとなる可能性があります。
一次情報(公式資料へのリンク集)
株式会社キーエンス
株式会社村田製作所
TDK株式会社
京セラ株式会社
ニデック株式会社
出典
- Career Reveal 編集部 調査・集計(2025年)
- 各社有価証券報告書(最新年度)
- 各社サステナビリティレポート・ESGデータブック・統合報告書
